第七回の大工道具支援

『新建ハウジング 第7回大工道具支援』

新建ハウジングでは、第7回目となる大工道具支援を行った。
第7回目となる支援先は、福島県浪江町を商圏とする大橋工務店さん。

ご存知の通り、大橋工務店が商圏とする浪江町は現在人が住めない。
福島第一原発事故による警戒区域に指定されているからだ。大橋工務店も例外ではなく、3代目の大橋甲治さん(38才)ご一家5人は現在、長野県信濃町に避難、甲治さんの妹家族は沖縄県に非難している。2代目である甲治さんの父、大橋敏さん(66歳)は現在、南相馬市に借家住まい。敏さんは8人の職人さんに戻ってきてもらい、屋根の修繕に汗を流す毎日を送っている。
敏さんは「家族がばらばらになってしまった」という表現で原発事故の悲惨さを話してくれた。
同時に、「商圏は違うけれど、今、私達を必要としている住民が多い。今は、ありがとうという言葉をいただきながら仕事をしている」と現在の心境を語ってくれた。

今回の支援では弊社スタッフ2人に、長野県信濃町に避難されている大橋甲治さんにもご同行をお願いした。

甲治さんは、浪江町から長野県信濃町に避難して7ヶ月が経つ。年間約10棟の新築を手がけていたそれまでの工務店経営から一転、現在は信濃町にある別荘の管理業務などのアルバイトをする毎日を送っている。すっかり地元の人々とも親しくなり、家族も生活に慣れたところだ。
それでも故郷ではお客さんが待っている。移住してほどなく、「いわき市で新築したいが、お願いできないか?」と、知り合いから相談があった。悩んだ末、
「新築は打合せや諸手続きにも時間がかかる。竣工してもその後の家守りを考えると、警戒区域内にある自社に常駐できない現状では無理。」と、依頼を断った。近い将来、3人の子供を抱えながら、どこに仕事と生活の拠点を設ければいいのかと、悩みは尽きない。
甲治さん自身も昨年6月に浪江町に自宅を新築、現在住むことさえ許されない家のローンは1年間の返済猶予の適用を受けている。避難による一時補償金は支給されているが、それに依存することなく仕事だけは続けなければと、
南相馬市に向かう車中でその胸中を語ってくれた。

南相馬市に到着後すぐ、甲治さんの父である敏さんが出迎えてくれた。敏さんは全国の同志から寄せられた大工道具をじっと見つめ、「本当にありがたい。」と言ってトラックの荷台への積み替えを手伝ってくれた。

福島県は岩手県・宮城県とは事情が違い、福島第一原発事故により避難が長期化。ようやく住民も戻り初め、家屋修繕もまだ始まったばかりだ。
敏さんは放射能漏れの影響で屋根に上がる職人が不足し、屋根工事が2年待ちという情報を聞いた。居ても立ってもいられず避難所から南相馬市に入り、現地を視察。同じように避難している仲間を必死に口説き、現在は8人の職人集団を形成。屋根修繕の仕事が始まった。

最初は、知り合いから家屋の雨漏り相談を受け修繕を行っていたが、徐々に紹介や評判が広がった。6月から1ヶ月半もの間、避難所に住む職人さんらと電話で連絡を取り合い、現場まで朝4時起きで3時間かけて週4日通った。しかし、「このままでは体が持たない」と、7月から南相馬市に借家住まいを始めた。未だに職人さんの大半は二本松市の仮設住宅から現場に通う。敏さんの奥さんは、職人さんの昼食を現場まで届ける毎日が続く。
放射線量を測定すると20ミリシーベルトと、一箇所で年間被爆量を超える現場もある。厳しい作業が続いているが、「お客さんから本当に感謝され、拝まれるほどです。」と、大橋さんは改めて地場工務店の役割に誇りとやりがいを感じている。
多数の避難者を出した地域での工事の施主にはお年寄りが多く、若い人は少ない。今後、この地域に住人が戻ってくるか否かもわからない。
今後の生活や暮らしをどうしていけばいいのか決断ができない敏さん自身も、借家からわずか車で20分しか離れていない自宅にさえ戻れない日々が続いている。
厳しい環境の中でも、誇りを失わずに仕事を続ける敏さんと職人の姿に、
工務店という仕事は人守り、故郷守りの仕事であることを実感した第7回大工道具支援でした。

第7回支援先
大橋工務店(福島県浪江町)

道具を送っていただいた方々
(敬称略)

(1)きくちライフサービス(埼玉県新座市)
(2)Be‐Leaf(山梨県北杜市)
(3)造家工房亀井(三重県四日市市)
(4)長野市商工会豊野支部工務部(長野県長野市)
・小林建築・高橋住建・内山石工所・渡辺電気工事
(5)岡山大学とんかちプロジェクト(岡山県岡山市)

今回、連携したグループ
○和数寄人(わすきびと)
代表 山根賢志(鳥取県倉吉市)

○岡山大学とんかちプロジェクト
山本和史(岡山県岡山市)


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